アパッスィオナート・ヴァイオリンツィゴイネルワイゼン ◎ 鷲見 恵理子 超絶技巧名演集

オフィス・アミーチ ES-1001

税込価格 2,900円
発売日 2007年10月25日

収録曲目

  • ツィゴイネルワイゼンサラサーテ Pablo de Sarasate(ダリオ・ピノ編曲 arr. Dario Pino)
  • ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲パガニーニ Nicolo Paganini(ダリオ・ピノ編曲 arr. Dario Pino)
  • コルドバ(夜想曲)~スペインの歌アルベニス Isaac Albéniz(ウェルナー・トーマス=ミフネ編曲 arr. Werner Thomas Mifune)
  • セビーリャ~スペイン組曲アルベニス Isaac Albéniz(ウェルナー・トーマス=ミフネ編曲 arr. Werner Thomas Mifune)
  • 魔女たちの踊り ジュースマイヤーのバレエ「ベネヴェントのくるみの木」の歌による変奏曲パガニーニ Nicolo Paganini(マッシモ・ランベルティーニ編曲 arr. Massimo Lambertini)
  • カンタービレ ニ長調パガニーニ Nicolo Paganini(ダリオ・ピノ編曲 arr. Dario Pino)
  • カルメン幻想曲サラサーテ Pablo de Sarasate(ダリオ・ピノ編曲 arr. Dario Pino)
演奏者 鷲見 恵理子(ヴァイオリン独奏).
収録日 2006年6月27日、30日
収録場所 ソフイァ・フィルハーモニーホールにて録音

太陽のヴァイオリン! 表現者の至芸

音楽評論家 諸石 幸生

 名手には事欠かない現代の音楽界ではあるが、時に演奏家の顔、素顔が見えないもどかしさに寂しい想いをすることがある。技もあり、音楽性も豊かで、洗練もされているのに、もう一つ心の奥に持っていて
欲しい個性やこだわりが希薄で、何を伝えようと演奏しているのか見えないことがあるからである。

 鷲見 恵理子さんの演奏を耳にしてまず嬉しくなるのは、彼女の演奏の周りには太陽があることである。自信に満ちた表現の逞しさと大らかさ、明快な方向性と包容力をもって突き進む表現の清々しさと明るさが何よりも素晴らしい。しかもじっくりと耳を傾けていると、鷲見さんは一人の名ヴァイオリン奏者という以前に、一人の表現者であるとの事実が浮かび上がってくるように思われる。即ち、彼女は自身の世界に感動の王国をもつ音楽家なのであり、演奏はそこから放射される喜びの調べと感じさせる吸引力があり、それが彼女の演奏をひときわ際立てている。

 誰にも似ていない、しかし誰もが欲しがる個性と人間性をもつ表現者の至芸というべきであろう。

アルバムに寄せて

音楽評論家 奥田 佳道

 南欧の華麗な響きを仲立ちに、愛すべきヴァイオリニスト鷲見 恵理子さんと、ランベルティーニ指揮のソフィア・ナショナル・フィルが創造の喜びを分かち合っている。芸術の女神ミューズが舞い降り、微笑ん
でいるとは誉め言葉が上滑りしているだろうか。いやそんなことはない。素敵なディスクがここに完成した。

 おなじみの「ツィゴイネルワイゼン」に始まり「カルメン幻想曲」で締めくくられる名曲選だが、さすが歌の国イタリアで認められた鷲見さん。選曲にも演奏にも編曲にも筋を通した。篤実なヴァイオリン独奏と
質感のある弦楽合奏が綾なす小宇宙。彼女の強じんな語り口ばかりでなく、東欧の演奏家が紡ぐうねりを帯びた響きや、木彫りの触感、そして低弦のアクセントも魅力だ。

 鷲見 恵理子さんは、今どきの「手っ取り早い」または「要領のいい」ヴァイオリニストではない。室内楽や音楽祭とも相思相愛の彼女だが、この人はお気軽なアンサンブルに身を置くことをよしとしない。眼前のスコアと真しに向き合い、ひとつひとつのステージを大切に創る。

 サラブレッドのなかのサラブレッドゆえ、ソリストとしての厳しさ、素晴らしさを誰よりも分かっている。彼女はあわてない。仕事また仕事と騒がない。聴衆の喝采を得やすい「こぶし」やメカニックを誇示しない。それで売れたとしても音楽的にはさほど意味をなさないことを体得している。

 ヴァイオリンを人生の糧とするファンとの対話、交歓こそ、彼女の喜びなのだ。2007年もイタリアで素晴らしい成果を挙げた。

 イタリアとスペインで育まれた情熱的な楽の音が、本物を目指す鷲見 恵理子さん流の見(魅)せ方で届けられた。続編への期待をも紡ぐ好アルバムに拍手の花束を。

 なお3、4トラックにオーケストラ演奏のみのプログラムを配し一夜のコンサート風に仕上げた心憎い演出も特記したい。

制作にそえて

鷲見 恵理子

 ギリシャ、トルコ、東ローマ帝国などの支配を受けたことにより多様な文化を持つ国、ブルガリアが誇るソフィア・ナショナル・フィルハーモニックとの協演を得て、弦楽器の魅力を存分に発揮できる今回の
プログラムでの理想的なCD制作が実現しました。

 大陸的な土臭さと洗練されたヴィルトゥオジズムを持ち合わせ、特に低音部のミステリアスなまでの奥深い響きは幻想的な世界へ導いてくれます。

 ジュリアード音楽学院在学中にリンカーン・センターの背後に広がるシャガールの絵の様なコバルトブルーの空を良く見つめては、音楽発祥の地であり、また西洋近代文化の発展に貢献した地中海・ラテン文化の奥義を深く極めたいと強く願うようになりました。 

 ディレイ先生のご指導による演奏技術の練磨と、ラテン文化への憧れ、この思いと共にイタリアを拠点に演奏活動を行い、その成果を『超絶技巧作品集』という形で皆様に聴いていただけますことは真に光栄です。

 特にツィゴイネルワイゼンは祖父鷲見 三郎に対して特別の気持を込めて捧げた演奏であることを付記したいと思います。

鷲見 恵理子ヴァイオリン

 祖父(鷲見 三郎)、両親ともに優れたヴァイオリニストにして名教師。
東京生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのジュリアード音楽学院でドロシー・ディレイ教授に師事。また室内楽を、パールマンらとの共演でも名高いピアノのサミュエル・サンダースに学ぶ。

 1994年、イタリアのミケランジェロ・アバド国際ヴァイオリン・コンクールで優勝。
カーネギーホールでデビューリサイタルを開催し、1998年ジュリアード音楽学院を卒業。

 ミラノを拠点に欧米の楽都で活躍。ヴェネツィアのアルブリツィ宮殿で開催されたポメリッジ・ムジカーレ音楽祭で弾いたバッハなどが絶賛されている。日本でも沼尻 竜典指揮のトウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズや東京交響楽団、神奈川フィルと共演。2006年6月にはブルガリアのソフィアでソフィア・ナショナル・フィルと共演、レコーディング(本CD)を行なったほかイタリア演奏旅行にも同行した。2006年11月、東京の紀尾井ホールでバッハ、イザイ、パガニーニの無伴奏作品によるリサイタルを開始し、好評を博した。

2007年7月アリチェ・ベル・コレ(ALICE BEL COLLE) イタリア音楽祭国際コンクールにて優勝。

マッシモ・ランベルティーニ指揮

 母国イタリアはもちろんのこと、北欧フィンランド、ラトヴィア、エストニア、さらにオーストリアで活躍中の指揮者。ムーティのアシスタントも務めた。ラトヴィア室内管弦楽団、オーストリアのアルペン・アドリア・カンマーフィル、イタリアのブローロ国際音楽祭などの音楽監督。

ソフィア・ナショナル・フィルハーモニック

 1928年創立。1949年から現名称となった。ブルガリアを代表するオーケストラとして1960年代からヨーロッパ各国に客演。1985年にブルガリアの名匠で、ソフィア・ゾリステンの顔だったエミール・タバコフが指揮者に就任し、ソフィア・ナショナル・フィルハーモニックは黄金期を迎えた。タバコフは1988年から2000年まで同フィルの芸術監督として活躍。1990年には日本公演も行なっている。

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